俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

10 Years After

No one can think a thought for me in the way no one can don my hat for me.(Wittgenstein)

  6年前に再会したきりの恩人が数年前に亡くなっていたという話をきのう書いたけれど、その6年前という記憶が間違いないかどうか、一応メモを出して読みなおしていた。間違いない。6年前の秋。

 ずっとメモ(日記?)を保存してあるが、たまに読み返すと、やはりもう6年も経つのだな、と感慨がある。

 大学のことをいろいろここに書くことは今でも多いのだけれど、もうずいぶん昔のことなのだ。とにかく、ぼくは今大学に籍を持たず、今でも知り合いたちが大学で教えていると思うと、なんだかとても不思議な気がする。常識からいえば、大学の教師でなくなったぼくが、いろいろ続けていることの方が変なのだろうが。

 上の一節は、当時のメモに書き抜いてあった。原典からじゃない、何かの本からの孫引きだけれど。

 ぼくは一般論というのが苦手だ。くわしくは書かないが、苦しみとか悩みとかは一人称のリアリティであって、三人称で「誰それは苦しんでいる」と言うのは端的に文法間違いに思える。「苦しそうだ」とは言えても、「苦しんでいる」とか、ましてや「みんな苦しいのは同じだ」などとぬけぬけと断言するのは、認識論的に僭越なのではないか。そんなことを考えていたころ(今はそんなことはあまり考えないのだが)。上の一節はたぶんそんな気分にすごくしっくりきたので書き抜いておいたのだろう。

  杏子さんのラジオはよく聴いていた。このCDも↓、持っているはずだ。

 

Wittgenstein and Psychoanalysis (Postmodern Encounters)

Wittgenstein and Psychoanalysis (Postmodern Encounters)

 

 

 

ウィトゲンシュタインと精神分析 (ポストモダン・ブックス)

ウィトゲンシュタインと精神分析 (ポストモダン・ブックス)

 

 

なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)

なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)

 

 


福耳 / 10 Years After