俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ラメ色のデカメロン

グローバリズムにおいて「プロパガンダに活用された理論」はもちろん、新古典派経済学あるいは新自由主義経済理論です。これにはマネタリズムも含まれます。そしてこれに加えてエリート主義です。彼らには選民思想が強烈にある。私は東京によく行きますが、他の地では考えられないような、凄まじくおぞましいエリート主義がはびこっているように感じます。そんな雰囲気は、丸の内のレストランあたりにいけば、強烈に漂っています。彼らにとってはそれが「世界」なのかも知れませんが、それは著しく狭く閉鎖的な空間です。そしてその閉鎖空間の中で彼らのエリート性を互いにたたえ合う。これは文字通り、オルテガが描写した大衆の典型像です。

 

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)

 

  二年前の本で、内容はさらにその一年ほど前の現実を踏まえたものだろう。その点は割り引きつつ読んでいるが、上記のこの一節は、先日引用した

「知らないことを知らないと言える人」「他人の仕事まで黙ってやる人」「他人の失敗を責めない人」だけが、相互支援・相互扶助のネットワークに呼び入れられて、そこでさまざまな支援を受けることができる。

 

街場の共同体論

街場の共同体論

 

  という一節と、どことなく反響しあう。

 東京は以前は仕事でしょっちゅう行っていたが、丸の内など一、二回行っただろうか。ぼくの場合は洋書店探訪だから、レストランなど知らないけれど。エリートが身内を褒め合い、かばい合うというのはよく聞く話であって、いまさら驚きもしない。ただし、それを支える理論的支柱が、かつてのように〈日本的経営論〉ではなく〈グローバリズム〉だ、というところにいかにも当節らしい世知辛さを感ずるという話ではあるのだ。〈日本的経営論〉はまだしも社会の比較的下層に開かれていて、「拡大均衡しようじゃないか」というところがあったように思うのは、記憶違いだろうか。


中島めぐみ ラメ色のデカメロン