Third Wind
[…]この「認知のシステムの歪み」の一つに、「自分で実現してしまう否定的予言」というのがある。「きっとうまくいかないよ」と予言し、それによって自分の行動や考え方に制約を加えて、結局、失敗に終わるというものだ。これは、明らかに、みずから進んで失敗を引き起こしたということだろう。
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これはよく言われることで、自分にも覚えがある。ネガティヴに考えていると、結果もよくないものになってしまう、という。
ただ、何が何でもポジティヴに考えろ、と無理強いすることもまたよくないだろう。否定的な自己概念を持たざるを得ない人には、そうなっただけの相応の来歴・理由があり、短期間での「気づき」や「開き直り」でことが解決するなら、苦労はないのだ。
これを克服する道は、具体的にはぼくにもよくわからない。自己概念のこじらせ方は人によりさまざまだろうから、その克服のためには個々別々の試行錯誤のくりかえしがあるべきだろうとしか言いようがない。
よく言われる通り、ちいさな成功体験を積み重ねる、というのは大事。ラジオ番組で投稿が採用される、といった程度のことでも、自信を失っているときにはたいそう効く。まあまあ楽しい人生じゃないか、と思えるかどうかは、あんがいそういった些事の積み重ねでしかない。
もっと通俗的なものでは、こんな助言もある。
世の中がスムーズに進むためには、ある程度、公正さが犠牲になってしまうこともあるのだという割り切りも、ときには必要です。
さらに怖いことですが、自分の想いが自分の環境を作るという法則に従うと、自分ばかりが損をしていると思っていると、本当に自分ばかりが損をしてしまいます。
勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 022)
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これはなかなかバカにできない本で、愚痴を言わないこと、そのかわりに解決策を考えること、といった、社会的成功者にとっては自明な常識を説いている部分は、日常でフラストレーションをため込んでいる人は一回読んでみるといいと思う(何度も読み返さなくてもよいが)。
上記の本には「アサーティブ」という英語の形容詞も出てくる。「自分の主張をはっきり言う」というような意味だが、ただの一本調子の自己主張とはちょっと違う。相手の主張を頭ごなしに拒絶せず、かと言って安うけあいもせず、「ならばこうしたらどうか」と、実のある前向きな解決策を打ち出すような態度を言う。これも、自分に自信のない人間にはそうそうできることではないのだが。
これを読んでいてふと思い出したのは次の一節。
[…]後々の行動の自由を確保するためには、初めに大喧嘩して自分の力で立場を確保したほうが、恩に着せられたような格好で遠慮しながらいるよりはよい[…]
くわしくは書かないが、在外研究先で上長相手の大喧嘩をして、主張を通してしまう…というのは、よほど自分に自信がある人=肯定的自己概念の超上級者でないかぎり、やってはいけないだろう。そうでない人がまねをすると命を落としかねない。
「ものは考えようだ」「気持ちの持ちようだ」といった人生訓は、ひとから強制されたって何のリアリティもない。多少の困難は自分の力で克服できる、という経験を積み重ねてこそ、ときどきそう思える瞬間もある、という程度のものだ。
夏日。こんな本ばかり読んでいるわけでもないのだが、独立独行の練習がつづく。