俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Hawaii Five O


Hawaii Five-O (IN STEREO) by The Ventures

 このヴァージョンがベンチャーズのものだと知ったのはずいぶん後のことなんだけれど、曲自体は平成元年の三月ごろから知っていた。二度目の大学受験で、ホテル代ももったいないから、今ではそういうことはできないだろうが、学生寮に連絡を取って、どこでもいいから泊めてくれと交渉したのだ。あの頃は「臨泊」といって、多くの大学の寮の自治会がそういうことをしてくれた。くりかえすが、あくまで当時の話だし、お金があれば当時だって好き好んでそんなことはしない。とにかく貧乏だった。

 で、寮の集会室みたいなところに布団を出してもらって、二泊ぐらいしたのか。小さなテレビがあって、初めて見るその県のローカル放送が珍しかった。そして、どこか地元企業のCMのバックでこれが流れていた。北海道より温暖な県だし、すごい解放感があって、とてもはっきり覚えている。

 そのときもう、入学したらロシア語をばっちりやってやろうと決めていた。そして数年後、露文の大学院に入るためその地を去ることになったので、一応目的は達した格好なのだが、実力のほどはまだまだだった。というか、年齢のせいもあってそっちを新たに詰め込むのにはかなり苦労したのだな。むしろ、英語の読解力がほどよく熟してきて、やさしい本なら困難なく読み通せるようになり、その地を去る間際になってアメ文の先生が「君はどうして英文を専攻しないの」と言うので、ああ、そんな手があったのか、と初めて気づく、といったありさま。

 いや「初めて気づく」などとカマトトぶったって仕方ないのでもう少し正確に言うと、その程度で英文に行っても潰される気がしたし、何より、前言をひるがえす形で志望を変えるのもいやだったのだな。自分のロシア語力の伸びについても、当時はうんと楽観していた。

 で、この冬はロシア語はうんとやってやろうと、カードに新聞やネットからニュースや論説を三、四段落抜き書きしては音読していたのだが、あれも飽きる。またやるけど、とにかく英語メディアを追いかけていると、それだけで時間が足りなくなる。

 気づくと、ずいぶん時が経った。相変わらず、むかしのことを夢に見て、4時とか5時、うなされて起きる。今のは夢だったのか…

 というか、何もかも夢だったような気もする。ぼくは自分の写真というものがほとんどないので、過去、あちこちの大学にいたというのも、他人には説得的に説明する自信がないのだ。それこそ学歴詐称と思われかねない、と思ったり。