俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ギター・ソロ

国家権力が押し付ける「目標」を六年で達成することにのみ各大学を追い込む独立法人化以降の大学政策は、全体主義以外の何ものでもなく、実際に国立大学はそれ以来すっかり「ソビエト化」されてしまっていると言っても決して過言ではない。

 

文系学部解体 (角川新書)

文系学部解体 (角川新書)

 

  ぼくが大学というところに居場所を与えられることはもうないので、実はもうこの問題もだいぶ他人事のように感じられたりもして、あんまり深刻な気持ちで手に取った本ではないのだよな。ただ、著者が教授を務めている大学の課程が異色の人材を多数登用してきた意欲的プロジェクトであるのは報道伝聞その他で知っていて、そう、ガセネタのベース奏者で、その後早稲田の仏文を出たミュージシャン/音楽学者の大里俊晴氏(故人、大学ではフランス語教師だったらしい)のことが書かれていたりしないか、ただただそんな関心で読んでいるのだが、一か所、大里氏への言及があった。

 あと、著者は京都大学出身だそうだが、そのときの同級生がレコード会社に入り、太田裕美と結婚、などというくだりもあって、これには、おおっ! となった。

 ガセネタのことは、実はほとんど知らない。CDの一枚でも手に入れてからまた書きたいけど、大里氏がすばらしく文学的なメモワール(小説?)『ガセネタの荒野』を遺しておいてくれたのだから、ガタガタ言わずにそれを読み継いで行けばいいんだろうな。あれは本当にすばらしい本で、浜野純、山崎春美といった破滅型の天才らに引きずられるようにバンドに参画した様子が、ちょっと屈折した文体でつづられている。『地下室の手記』や『ライ麦畑で捕まえて』とならべておきたくなる本だった。

 

ガセネタの荒野

ガセネタの荒野

 

 


大里 俊晴 ギター・ソロ ~ 1987年3月9日, キッド・アイラック・ホール