仰げば尊し
札幌滞在。誰でも知っている大先生の、最終講義。
直接授業を受けたわけではないけれど、たいへんお世話になった、そんな思いの若者・元若者がたくさん集った。もちろん盟友ともいうべき大先生たちや一般の方々も大勢詰めかけていた。
思い出話で終始する最終講義というのもあれはあれでなかなかいいものだけれど、今回はそんなではなかった。学問への旺盛な情熱にあふれた、濃厚な90分。
去年も、別の恩師の最終講義に出かけて大変な収穫があった。だれだって歳をとるから、永遠に大学院生でいることはできないし、知っている先生もつぎつぎ教壇を去ってゆく。あとは自分だ。自分がどれだけ悪条件に負けずに、本を読んで考えることへの情熱を青白く燃やし続けられるか。
帰りの特急に揺られながら、ここ二十数年を振り返る。