Charlie M.
Cool Jazz - Art Ensemble of Chicago - Charlie M.
「木材工場はどうなったんですか?」
「人手が足りないからもっと便利な場所に移ったんだ。今でも小さな工場は幾つか町にあるけどたいしたもんじゃないよ。山で切られた木は町をすどおりして名寄か旭川に行っちまうんだ。だから道路だけ立派になって、町がさびれていく。でかいスパイク・タイヤをつけたトラックなら大抵の雪道は苦にしないんだ」
A Wild Sheep Chase: A Novel (Trilogy of the Rat)
- 作者: Haruki Murakami
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2010/09/01
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洋書>A wild sheep chase (村上春樹英語版シリーズ)
- 作者: 村上春樹,アルフレッド・バーンボーム
- 出版社/メーカー: Vintage Books
- 発売日: 2010/10
- メディア: 単行本
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A Wild Sheep Chase by Haruki Murakami Lesson Plans (English Edition)
- 作者: BookRags
- 発売日: 2012/06/21
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もう北海道でも、スパイク・タイヤをつけたトラックなど走っていない。そういう、時代の刻印が今読むと面白い。英訳はバーンボームで、のちに村上の訳を手がけるジェイ・ルービンに比べて訳し方がラフだ、という評価はよく目にする。細かいことだけれど、「名寄」が「Nayori」になっていたりしなかったか。
二〇年前の春、旭川から特急を乗り換えて稚内に向かった旅行は楽しかった。メモ代わりに、旭川のカメラ店で中古のカメラを買った。それをその後何年か、どこへ行くにも熱心に使っていたので、しばらくの間、あいつは写真マニアだ、という風に思われていたと思う。そんなこともあった。
で、特急の窓から見ていると、記憶では、何もない原野のまんなかに「分県を実現しよう」といった看板が立っていたりした。札幌に集中し過ぎた行政などの権限を、北海道の分割=分県によって分散させようという趣旨らしくて、同じ北海道でも、東のほうではまずこんな看板は見ないから、とても珍しかった。
誰かと話した気はするけれど、道北のほうって、ある意味、本州の延長なのだよな。道北、と決めつけると語弊があるけれど、石狩や空知が上川、宗谷へと移ろってゆくグラデーションのなかで、本州的なるものが希釈されつつも途切れずに連続しているのがどことなく感じられるように、あの頃感じたのだよな。大雪山の東のほうと、まったく違う風土と言えばいいのか。
春の予定を確定しつつあるけど、あんまりあちこちには行けそうもない。