あれから
東京大学「80年代地下文化論」講義 (白夜ライブラリー002)
- 作者: 宮沢章夫
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2008/07/23
- メディア: 文庫
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30代ごっこ―80年代に壊れちまった僕ら (ミスター・パートナー’s BOOK)
- 作者: 野浪まこと
- 出版社/メーカー: ミスターパートナー
- 発売日: 1998/09
- メディア: 単行本
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80年代の何がそんなに…?といぶかる人もいるだろうけど、(追記:たびたびそれについて書く理由は)ぼくが18,9で、可能性が可能性のままだったころへの、何というか、悔恨まじりの郷愁ゆえにというしかないな。悔恨が混じってしまうのは、これはどうしようもないんで、80年代の始めと終わりに共通一次試験を受け、学部生を二度やったという、あんまり普通じゃない来歴にハッキリ、それは刻印されている。
悔恨って、要は、外国語の習得に失敗した、という、その一点だね。いつも書いているけど、語学なんて、待っていればだれかが懇切丁寧に教えてくれるもんじゃなくてさ。最初入った大学で、おかしいなあ、いつになったら「勉強」が始まるのかなあ…と他人頼みでドイツ語の教室に座っていたのは、田舎から出てきたあんちゃんの、ナイーヴな無知なんだよ。強い意志と、明晰な参考書さえあれば、どこに居たってたいていの語学の初歩・中級は習得できるよ。
だから、厳しい事を言えば、青春/人生をエンジョイしながら語学に精通したい、というのは虫が良すぎるんだよ。語学は、たくさんの犠牲を要求する。生れながらの環境に恵まれた人とか、メキャニカルな頭脳を持った超天才は別だよ。でもたいていの凡人は、膨大な時間をかけて文法書やリーダーや単語帳を繰り返し読んで、それでなんとか外国語をひとつかふたつ、ものにするんだよ。
もちろん、そのころの自分に出会えたら、このことを伝えたい…というのは非現実的な空想に過ぎないよ。だから、ずいぶん遅くなったけれども、better later than neverと現在の自分に言い聞かせて、他人がとっくに通り過ぎた夕暮れ道を、希望というあかりだけを灯して、とぼとぼ歩いていくんだよ。