俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

内地へよろしく

 

内地へよろしく (河出文庫)

内地へよろしく (河出文庫)

 

 

 

久生十蘭「従軍日記」 (講談社文庫)

久生十蘭「従軍日記」 (講談社文庫)

 

 

 本をバンバン買える身分ではないのだけれど、ぽつりぽつり、新刊を買うことはなくならない。久生十蘭の二冊も、最近買った。そのうちここに、感想を書くこともあるだろうと思うけど、今日はそのことじゃないんだ。

 何につけ、通販はアマゾンがいちばん早いのはわかり切った話なんだけれど、思うところあって、書店の店頭で引き取る方式のネット通販、あれを利用しているんだ。日販、トーハン、ふたつの系列があって、それぞれに同様のサービスがあるんだけど、いちおう、両方登録してみた。書店がどっちの系列かによるんだね。ただ、ぼくは、そのうち一方だけ使っていて、いちばん近所の書店で引き取る。わざわざ遠い書店まで出向いて引き取るほうのサービスは、いまのところ使っていない。

 アマゾンより数日遅くなるんだけれど、これが使ってみるとなかなか良くてさ。カード決済だとつい財布のひもが緩くなってしまうところ、店頭で現金を払って引き取るので、その点がいいな。あと、書店の店先、今でも、なんとなく好きだ。

 小売書店のない文明というのは存在しない、と、何かの本に書いてなかったか。とすれば、われわれは史上初めて、小売書店という業態が劇的に衰退する、そんな文明の変容を経験しつつあるんだろう。それはそうに違いなんだけれど、本屋さんって、ぼくはなくなってほしくないんだね。

 アマゾンで本が届き、アップルで音楽がダウンロードできる。それどころか、本も電子書籍化が進んでいるし、音楽はダウンロードどころか、ストリーミングで聴く時代なんだそうだ。キンドルはぼくですら持たざるを得ないと思って買ったし、昨夜はアマゾンのプライムミュージックで見つけたローランド・カークを聴いて寝た。でも。

 未来が来るのが、その速度が、ちょっと速過ぎやしないか。小室哲哉が、今にCDなんてなくなる、コンビニでMDに3曲1000円でダウンロードしてもらうようになる、と発言していたのが、たった二十数年前だよ。当時はそれが十分に大胆で、未来的で、革新的に聞こえた。ついこの間まで、そうだったんだよ。

 それが今では、そのMDすら姿を消しつつあるんだからね。僕の周りだけ時の流れが遅すぎる、って、大塚博堂が唄っていたのが、もう何年前のことだろう。

 でさ、CDの山をひっくり返してさ、見つけたんだ、ローランド・カーク。ストリーミングで聴けるのも便利でいいけれど、あれをせっかくのステレオで鳴らす環境がないんだね、ぼくの場合。で探しだした'We Free Kings'、今日は一日中聴いていた。

 このCDも、かつて、店頭買いしたんだよ。ぼくが大学の教師になりたての頃は、たまに札幌にでると(当時は札幌に「帰る」感じがあったけど)CD店と書店に行くのが楽しみでさ。もうそんな時代は帰らないのだろうけど、レコード店や書店が街の中心の象徴だった、そういう時代が長くあった歴史的事実は、決してなくならないんじゃないか。


Roland Kirk - Blues For Alice