俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール

 夕暮れ。古書店があったので入ってみた。書棚は低いが、そこに並んでいるのは今まで見たこともない海外文学の翻訳書ばかりで驚く。店主はカウンターの向こうで、大きなスクリーンのテレビで、CNNのジョナサン・マンの政治番組を見ている。これが聴き取れるんだから、インテリだなこの店主。並んでいる本のなかには、とくにエレンブルグの『トラストD・E』の初めて見る訳がある。ずいぶん古い。これいくらか? 裏表紙に鉛筆書きされている値段が読めそうで読めない。もう一冊、これも見たことのないエレンブルグのエッセイ集を引き抜き、レジへもっていき、店主に聞いてみる。「こっちが2000円、こっちが750円」という。意外に安い。買おう。しかし、どうしたことか財布がない。ポケットをまさぐるが、ないのだ。そこで「これ、取り置いておいてもらえませんか」と尋ねる。「ああ、今日中ならいいですよ」との返事。よかった…しかし今日中って。もう日が暮れてるじゃないか。外へ出るが、そこは札幌市北区。あれ、おれ、まだ札幌に住んでいるのか?

 ここで目が覚めた。夢。たまに見る、本屋の夢。未明から勉強のような仕事のようなことをして、明るくなってから布団へ戻り仮眠していたんだった。老母は外出して留守。

 冬の真ん中。こんな日が続く。

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 ところで、ホームセンターに行ったらレンタル落ちのCDのワゴンがあって、一枚96円、三枚買ってきた。うち一枚が映画『スタンド・バイ・ミー』のサウンドトラック盤。こちらは夢じゃない。ベン・E・キングスタンド・バイ・ミー」がいい曲なのはもちろんだけれど、シャーリー&リー「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」。これアナログ盤でよく聴いた。有名な同名曲とは別の曲で、案外こっちが好きだな。80年代の頭ぐらい。当時は本州の大学にいて、長い春休みは北海道に帰郷して、音楽を聴いてぶらぶらしていた。あの頃、すでにさびれつつあった街のたたずまいやなんか、思い出す。あと、真冬が次第に春先へと移ってゆくうれしさとか、ラジオの入りがよくないので携帯ラジオをもって屋根に上って聴いていたこととか。勉強はなんにもしなかった、ただの無気力なあんちゃんだった、あの頃。


Let The Good Times Roll- Shirley & Lee