俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

夢先案内人

 

'Yakov, why is it only God you attack all the time?'

 This made him howl even more bitterly; 'Well, what's to prevent me? For almost twenty years I believed and lived in fear of him. I suffered because it was impossible to quarrel, it was all decreed from above, and I lived in chains. When I read the Bilbe and grasped its meaning I could see that it was all fiction. Yes, fiction, Nikita!'

 

My Universities (Penguin Twentieth Century Classics)

My Universities (Penguin Twentieth Century Classics)

 

 

  年末のある日、山口百恵を繰り返し聞きながら徹夜した…。というのも、その前日の朝に、夢を見たのだ。夢だから細部は覚えていないのだが、そのなかで山口百恵が「夢先案内人」を唄っていた。

 山口百恵の中でも、この曲はそんなに好きなほうではなかった。メジャーの曲調が悠長でかったるかったし、ですます調の歌詞もあんまり好きじゃなかった。ところが夢の中で流れたのだ、この曲が。徹夜の夜、むしょうに聴きたくなり、押し入れからアナログ盤を引っ張り出し、聴いた。いや、宇宙観がでかい。「月夜の海に 二人の乗ったゴンドラが」という出だしのグルーヴ感からやられる。この35,6年が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。いろんなことがあった、しかしまだ歴史の終わりではない。パッと目の前が明るくなる。

 夢は不思議だ。夢の中でかつて住んだいろんな土地を経めぐるが、どの土地の相貌も、夢の中では、誇張され、ゆがみ、ありえない姿をしている。屋内と屋外が奇妙な形で連続していたり、あるはずのない場所に建物が立っていたりする。そして、もう会うはずのない人と出会う。しかしそこだ。フロイトなどくわしくはないが、そこにこそ覗く真実というものが、きっとあるんだろう。そして、「夢先案内人」はまさに夢に関する歌なのだ。山口百恵のベストを聴きつつ、そんなことを思った。それにしても、夜中は静かでいいな。


夢先案内人 - 山口百恵