トロロープ自伝
執筆計画を立てることで、人生や暮らしにバランスがもたらされる。といっても、疑似科学というかニューエイジ風の自己啓発のような奇妙な達成感の話ではなく、仕事と遊びを分けるというような意味でのバランスの話だ。
できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)
- 作者: ポール.J・シルヴィア,高橋さきの
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/04/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ここですね、大事なのは。ニューエイジ風の自己啓発本じゃないんだよ、という釘の刺し方。
ずいぶん以前、昭和30年代の大江健三郎のTVインタヴューをちらりと観たことがあります。学生生活と作家活動をどう両立させているのですか、という女性アナウンサーの問いに、「文学部の学生が小説を書くのはそう不自然なことではないんです。問題は時間の割り振りなんです」とたしか大江氏は言っていた。まさにそこだな。
執筆にたどり着く前に、ぼくらは原書を読まなければなりません。これも、時間の割り振りが決定的に大事。勤めていた時は、それがいつしかできなくなってた。勤め始めのころは、4時半くらいにもうサッサと退勤して、喫茶店で必ず一時間半くらい横文字の本を読んでいた。その生活が三年くらいは保てていたたはず。あの頃どっさり取ったメモ・ノートのたぐいも、論文化されないまま眠っています。
どんなに忙しくても、一日15ページ~20ページくらい英語なりロシア語なり読める時間を確保する。これは抽象論や精神論ではダメで、上で言われている具体的な「バランス」の話ですね。そのためには酒もやめるべきだし、朝型の生活に移行するのもいい。てきとうな静かな喫茶店がないから、というのはまあ、言い訳としてはあまりみっともいいもんじゃなかったな。過ぎたことをいくら言っても始まりませんが、そのためにあるとき決意し、わざわざ引っ越して、勉強部屋までしつらえたんですが…
ということで、A・トロロープの自伝も、この方法で、10日で読めてしまった。洋書読みも、習慣化できるかどうかなんですよね。