俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

月夜の盗賊たち

  日本軍の将兵たちは「生きて虜囚の辱めを受けず」との戦陣訓のもと、捕虜になるよりも死を選べ、と教育された。このため、捕虜の「権利」を知らず、ソ連の不当な処遇にも従順だった。まじめにノルマを果たそうと競うあまり、体力を消耗して亡くなる日本人もいた。

 

シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)

シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)

 

  ぼくらは権利を知らない、ということは今日でもあるように思います。

 権利という言葉を知らない人はもちろんいないけれど、それがどんなものであるか、どうすればそれを「起動」できるか、ぼくらは知らないんじゃないか。だから、民間でお勤めをしている人はみな知っている通り、お前の給料はどこから出てくるのか、といった恫喝にぼくらは極めて弱いし、ここで給料をもらう以上はこれくらい当たり前、といった論法にも弱い。

 シベリアと比べるつもりは全くないのだけれど、大学という場所も、ぼくのかんじでは会社の一種で、ぼくらは俸給を押しいただく従業員/使用人にすぎず、「従順」であることがまず求められ、「勤務先」と独立に、確固とした研究者としての自分がある、という実感は、ぼくの場合、ついに持つことができなかった。

 大学なんて、もう昔のことだけれど、その辺の気持ちの整理は、いまだにまったくついてはいませんね。

 メモ代わりに。


友部正人 「月夜の盗賊たち・びっこのポーの最後・一本道」 - YouTube