Andy Warhol Documentary Film
もうひとつの理由は、作者の「わたし」によって文学作品を解釈する批評にたいしてバルトがずっと批判的だったからである。文学とは作者の「わたし」を語るものではないと考える彼は「わたし」と書くことからは遠いところに位置していた。五〇歳を過ぎたころから、小説的な作品を書きたいと漠然と思うようになったが、「わたし」と書くことへの抵抗は大きかった。そんなときに、俳句の「わたし」を発見したのである。作者の自我に結びつかない「わたし」を。バルトは「わたし」の可能性に気づき、自分も「わたし」をもちいて書きたいと思うようになる。そしてその最初の試みが『記号の国』であった。
ロラン・バルト -言語を愛し恐れつづけた批評家 (中公新書)
- 作者: 石川美子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/09/24
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (4件) を見る
この問題系がこんなところに露呈していることに軽い驚きを覚えつつ、この秋、この小さな本が贈り物のように世に送り出されたことの貴さをかみしめる。
なんにもしない一日でしたけどね。インフルエンザ予防接種。あんかけやきそば。コーヒー一杯。そんだけ。
************
思い出した。ベルベッド・アンダーグラウンドのジャケットで有名な、ウォーホールのバナナの絵の缶バッジを買ったんだけど、自分でそんなもんつけてるのもなんだかおかしいので、老母に、「あげるから、上着につけなよ」と言ったんだ。これ何さ、とひとに訊かれたら「アンディ・ウォーホールだよ」と答えればいいよって。「杏仁豆腐というの?」というので、ダメだこりゃ、と思ってあげるのをやめたんだ。