俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

タイタニック号の沈没

 

ギャヴィン・ブライヤーズ:タイタニック号の沈没

ギャヴィン・ブライヤーズ:タイタニック号の沈没

 

 

 負け惜しみのようにとられると困るのですが、「研究室」とは制度ではない、心の状態だ、と言ってみる。大学なり研究所なりにポストを与えられなくとも、ぼくらの勉強は続けられないことはありません。

 むろん、「研究室」とは物理的な場所ではない、とまで言うと、少し言い過ぎになります。広壮な研究棟の中に立派な研究室を与えられる必要はないんだけれど、本を置く場所、パソコンを据える机はやっぱり必要です。

 しかし、何より必要なのは、静穏。静かで、おだやかな時間。これさえあれば、多少ボロ家でも、勉強がはかどるだけでなく、いろんなものが見えてくる。

 ギャビン・ブライアーズの『タイタニック号の沈没』を買ったのは17,8年前かなあ。でも、一回聴いて、途中で止めたのを覚えています。当時、心の余裕がなかった。言いかえれば、静かで、おだやかな時間に恵まれませんでした。

 それがね、おとつい、寝るときにiPod で聴きながら寝たのね。ああ、こんな音楽か!という明瞭な了解感。

 ここまで来るのに15年以上? そんなもんか。ぼくにとっては、文学にしろ音楽にしろ、こういう「わかる」「いいなと思う」という経験の積み重ねの上に、「勉強」とか「研究」があるのが望ましい。それじゃプロじゃない、と言われたら、ごめんなさい、というしかないですけどね。「好きこそものの上手なれ」って、やはりあると思うな。


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