俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

代書屋

 当時の開拓地では、土地の払い下げなど、役場に申請する必要事項が多かった。しかし書類を自力で記入できる人はほとんどおらず、多くの役場では、隣接して代書屋が開業していた。一九九〇年代になってさえ、こうした代書屋が残っていたのを記憶している読者もいるだろう。素封家の家庭に育った雄次は、小学校教育しか受けていなかったものの、知識労働職に就く能力を持っていたといえる。

 当時の旅館は、そこに住んでいる長期滞在者が少なからずおり、勇次も網走の旅館に滞在しながら働いた。旅館の主人の世話で、手のかかる下の娘は養女に出したが、その後の展望が開けなかった。やがて彼は、網走に近い新開拓地だった佐呂間で、役場が新設されるという情報を得た。役場ができれば、代書屋の需要がある。そう判断した彼は、一九一四(大正三)年一〇月に佐呂間に移住した。

 

  北海道は食い詰め者か罪を犯した人の来るところ──今はさすがに、そんな通念はないんでしょう。というか札幌とそれ以外の地方の格差があまりにデカすぎて、そもそも「北海道は」という主語が立てられない場合がけっこう多かったり。でも、ほんの数世代の時間の層を引っぱがせば、こんな光景が見えてくるんだね。今でも車を走らせると、北海道の中には「岐阜」もあれば、「秋田」も「鳥取」もあったり。

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 研究滞在を終えて、今その後処理みたいなことをやってますが、昨日も書いた通り、もう気持ちを切り替えないと。

 昨日は晴れて暑くて、まるで何かのごほうびみたいに夏が一日だけ残っているような感じで、気持ちよかったな。めったに歩いて行かないほうまで歩きましたけど、川面がきらきら光って、フランスまで印象派の絵画を見に行かなくたって、ここにこんな宝物みたいな風景があるじゃない。

 今朝は早起きし、少し勉強/仕事。例によって例のごとく「あんたまだ読んでいなかったのか」本を泥縄式にやっつけにかかる。そしてまた散歩。まだ自転車旅行の人たちがテント張ってるんだね。

 お勤めを辞めてかなりたつのに、日曜はやはり日曜のままだからふしぎ。湿気と冷気の入り混じった朝の空気の中で、北海道という場所についてまたあれこれ考えてます。

 


桂枝雀 Shijaku Katsura 代書屋 落語 Rakugo - YouTube