夏休み
あるとき外門の所へ来てみると、ちょうど私の前にトロツキーとその妻が並んでいた。彼らは兵士に制止された。トロツキーはポケットをくまなく探ったが、通行証は出てこなかった。
「気にするな」彼はとうとう言った。「わたしのことはわかるだろう。わたしはトロツキーだ」
「通行証がないとだめだ」兵士はかたくなに言った。「中へは入れない。名前を言われても困るんだ」
「でもわたしはペトログラード・ソヴィエト議長だ」
「へえ」兵士は答えた。「そんなえらい人なら、せめて紙切れぐらい持ってるはずじゃないか」
トロツキーは我慢強かった。「司令官に会わせなさい」彼は言った。兵士はためらい、どこの馬の骨とも知れぬやつが来るたび司令官どのをわずらわすわけにいくかよ、とぶつくさつぶやいた。彼はしまいに門衛を束ねている兵士に伺いを立てた。トロツキーはその兵士に事情を説明した。
「トロツキー?」そのもう一人の兵士は頭をかきむしった。「どっかで聞いたことある名前だ」とうとう彼は言った。「たぶん大丈夫だろう。入っていいよ、同志」
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似たような話、数年前にどこかで読みました。あれはスピルバーグだったか、ルーカスだったか。自社スタジオに入ろうとしたら入構証を自宅に忘れ、守衛が頑として通してくれず、すごすごと自宅に取りに戻ったとか。そんなニュース、なかったでしたっけ。
暑いですが、こんな天気、当地じゃ三週間と続かないはず。つかのま、この季節らしくていいや。