俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

There Will Never Be Another You

正岡子規と秋山兄弟は、四国・松山で同じ町内に生まれ育ちました。司馬遼太郎が好んで描く、「同郷、同じ町内の主人公たち」なのです。

けれど、松山城下で送った子供時代には、それぞれに境遇の差があります。

長じて若き小学校教師となった兄・秋山好古

一高(大学予備門)生となった弟・秋山真之

そしてのちに俳句の革新者となる正岡子規

同じ町内出身の三人は、時代の中で、成り行きで偉人になってしまった主人公たちなのです。その活動を支えたのは、母や妹、そして妻たちでした。

明治の時代、まだ女性の社会進出は進んでおらず、女性の生き様は、夫や子供のために家を守る、というものでした。そういう意味で、秋山兄弟の母も、子規の母や妹も、そして秋山兄弟の妻たちも、明治の女性の典型だったと言えます。

  

 

『坂の上の雲』を読み解く! ~これで全部わかる 秋山兄弟と正岡子規
 

  『坂の上の雲』をぜんぶ読んでいる暇はない、という人がもしいたら、この本はとても便利。わりときちんと要点の整理がなされていて、有用です。

 この春、ヴァージニア・ウルフ『私だけの部屋』を読んで感銘を受けましたが(ってかそんな平凡なもんではない衝撃を受けましたが)、あそこでも、シェイクスピアに、同じだけの天分を持った妹がもしいたとしたら、という議論があり、多くの女性の才能が歴史の闇に消えていった、と主張されていました。これも「もしも」を用いた論法、じゃないのかなあ。「偽史的想像力」はあながち虚構散文だけの特性ではなく、もっと広い使われ方をされて、人文知のインフラを支えている、そんなことに気づきます。

***********

 今朝は4時半起き。クリス・モンテスのベスト盤。稲垣潤一さんみたい、というかそれは逆なのだ、というのを知ったのがもう何年前でしょうか。チカーノ・ロッカー転じてアダルトなポップ歌手に、というヒョウタンから駒のような音楽的変遷が楽しい一枚。いいなあ。

 


Chris Montez - There Will Never Be Another You ...