俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

イン・ザ・ムード

 もう今月は更新の予定はなかったんですが、メモ代わりに。

 BSで映画『瀬戸内少年野球団』(篠田正浩監督、1984年)をやっていました。ずいぶん前に一度見たからいいや、と思っていたのですが、途中から見ているうち、つり込まれ、最後まで見ました。

 さる気鋭の論客が、「戦後」という語には「第二次世界大戦後」という意味と、日本人にとっての最終戦争があの戦で終わった、という二つの意味がある、と新聞の論説に書いておられたのがつい先ごろだったでしょうか。この映画の時代設定は、その二つの意味での「戦後」が未分化のまま生成・推移しつつあった時代なんでしょう。

 ストーリーを詳しく描く余裕もないですが、これはその「戦後」の、普遍的価値としてのアメリカ文化(野球、男女同権、英語、それにジャズ?)と、その日本的受容の物語。夏目雅子演ずる女教師が、片足を失った復員兵の夫(郷ひろみ)とともに、子供たちの野球チームを結成するお話。子供たちは野球でアメリカチームを打ち負かすことを目指すものの、ラストシーンでは、夏目雅子が、中学生になった子供たちにI am an American boy.という英語の文を復唱させます。敗戦国の女教師によってこのセンテンスが反復されるという倒錯、あるいは、子供らが正式の硬球ではなく軟式の野球ボールに「これが本物や!」を目を輝かせる錯誤に、篠田監督と原作の阿久悠さんの思いが込められているんだろうな。

 ただ、こんなさかしらなこといくら書いても何の意味もなく、性の目覚めと価値観の激変に戸惑うさまを演ずる子役たちの、演技の健気さに打たれた、と正直に書かなくてはだめですね。戦犯として処刑される父(伊丹十三)を持つ少女(佐倉しおり)のいじらしさが、この映画の柱だと見ました。

 あと、若い島田紳助が、チンドン屋のようななりをした成り上がり者として登場し、映画というメディアの、記録/記憶メディアとしてのキャパシティの深さを見せつけます。

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 まだ四月だというのに夏日。先日まで部屋の窓は雪に埋もれてたんですが。アイス・コーヒーの飲みすぎで胸焼け。勉強、進展なし。


10 Lindy Hop- "In The Mood"- Marine & Guillaume ...

 

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