俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ラジオ──平日の詩学

 二つ前のエントリーで、札幌で数枚CDを買った話を書きました。冬はもう少し先ですが、音楽的な冬ごもりの準備のため──。

 もちろん今はCDを買わなくとも、浴びるように音楽が聴けます。インターネットがつながっていれば、無数の音楽専門放送局の中から好きなものを選んで、文字通り浴びるほどの音楽三昧ができるのですね。数年前、自宅に無線LANを導入したとき、ためしにノートパソコンにスピーカーをつなぎ、茶の間でジャズのステーションをかけっぱなしにしたら、老母が「あら、もうアナログ盤を買う必要ないじゃないの」と言いました。息子のCD、LP,本の置き場所にはほとほと困っていますから。お小遣いに限度のある世のお父さんがたのなかにも、この方式でCDを買うのを我慢している方、多くおられるでしょうね。そうか、今年の冬ごもりはそれで充分なような気が…

*********************

 ただ、今回書きたかったのはNHKが放送している通常のFM放送のこと。午後11時台のソウルミュージックの番組とか、Theアルフィーのトーク番組とか、翌週の午前に再放送してますよね。あれがいいんだなあ。ぼくはソウルミュージックももうあんまり詳しくないし、「メリー・アン」のアルフィーさんの良き聴き手とはとうてい言えませんけど、それでも、ラジオをつけてごく普通に番組が流れていると、落ち着くんですね。やがて「弾き語りfor you」になり、そのピアノの音でなごんだ後は浪曲、そして正午。平日の家のなかはがらんとしてむしょうに人の話し声が恋しく、何を聴いてもすばらしい…

*********************

 動画は70年代から80年代にかけて夕方に放送されていた『軽音楽をあなたに』の断片です。高校のころ、学期中は聴いていたはずはないんですが…そうか、テスト期間とか、夏休みや春休みに聴いていたのか。洋楽の新譜がほぼ全曲かかるような構成は、LPを簡単に買えないけどカセットデッキなら持ってるという高校生には、とてつもなく貴重なコレクション源でした。テーマ音楽がスタッフの「マイ・スィートネス」というのも懐かしいなあ。当時の最先端のインスト音楽で、いまだにお洒落。

 この回はコーラス・グループ特集ですが、今のようにネットラジオで浴びるように聴けなかったからこそ、FMの電波が田舎に運んでくるこうした洋楽は貴重でした。こういう番組でなまじ〈選曲の妙〉なんぞに目覚めてしまったものだから、この歳になっても、珍しいものをさがしてCDやアナログ盤あさりをしてしまう…

 アンリ菅野さんのDJがまた素敵です。いつも見えない素敵な何かを、あなたに…また来週お会いしましょう…この名残惜しさ…これは現在ほぼ同じ時間帯で流れている『ミュージック・プラザ』にも引き継がれていて、木曜の矢口清治さんは「必ずお元気で」と番組を締めくくります。こういうきちんとした品の良さを好ましく思います

 


「軽音楽をあなたに」アンリ菅野。~「夕べの広場」1982.10.20 - YouTube