俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ディック・セント・ニクラウス「マジック」

 今、手元にあるのは『ウィ・アー・ザ・エイティーズ』というソニーの80年代洋楽コンピレーション。アマゾン・マーケット・プレイスで400円くらいで売ってたもの。80年代はじめ、大学時代に聴いた曲がいっぱいで、いい買い物でしたね。CD棚のこやしにしておくのはもったいないので、iTunesに読み込ませて聴いています。これ、今日取り上げるディック・セント・ニクラウス「マジック」が聴きたくて買ったんだっけ…

 有線で火がつく、という言い回しがありますが、「マジック」は関西の輸入盤店で耳の肥えた洋楽ファンたちに見出された楽曲。それにCBSソニーの20代の販売促進課員が目を付け、国内盤の製作・販売・広報を関西限定で行い、のちに全国発売、大ヒットに至ったもの。70年代があっけなく終わり、僕が高校を出る春、ラジオでしきりに流れていました。大学へ入るため大人たちが「しょっぱい川」と呼ぶ海峡を当時はまだ連絡船で渡り、たどりついた学生街の下宿で、買ったばかりのラジカセで録って、繰り返し聴いたのが懐かしいです。卒業して別れ別れになった友人にこの「マジック」のことを便りに書いて送ったら「『マジック』はメロがいい」と返事がきました。AOR、すなわちアダルト・オリエンテッド・ロックということがさかんに喧伝された時代。しかし、上に書いたCDのライナーにもある通り、AORうんぬんより、歌謡曲のような甘く湿った感じが日本では愛されました。これを聴くと、あのなんだかさみしい1980年の春のことが、昨日のことのように思い出されます。


YouTube: DICK ST. NICKLAUS - Magic