俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

クリエイション「フィーリン・ブルー」

中学生の頃、同級生の音楽やってるやつらがコピーしていたのはディープ・パープルでもレッド・ツェッペリンでもなく、クリエイションでした。

竹田和夫が率いる四人組ハードロック・バンド。でも今振り返ると、ハードロックというより、へんな言い方ですが「和製ブリティッシュ・ブルーズ・ロック」とでも形容したくなります。

同級生たちが必死にコピーしていたのは彼らのファースト・アルバム。子供たちが裸でおしっこしているジャケットのアルバムで、記憶だと帯に中村とうよう先生の推薦の辞が書かれていたように思います。

で、僕らの少年期に絶大な影響を及ぼしたのが「Feelin' Blue」というマイナーコードのミディアム・ナンバー。とにかくツイン・リード・ギターの前奏がおセンチで美しかったんですよ。当時、子供ですからね僕ら。なんか、こういう短音階で優美な旋律なのがブルーズだ、という重大な誤解を僕に引き起こしたという意味でも、この曲、思い出深いんですなあ。

あと、全曲英語って言う、ね。はじめっから日本の歌謡曲マーケットでのヒットを当てにしてない姿勢がカッコよかったです。これ、いまでもほぼ全部歌えるんですよ。Living life without you is the hardest thing,sweet perfume and the tender lips I could never forget, had a dream long ago of you leaving me alone…って丸暗記して歌ってたなあ。チュー坊の英文法ではわからない部分もありましたけど、その後こつこつ勉強してたら突然疑問が氷解する瞬間があったりして、ほんと、勉強になりましたですね。

間奏のギター・ソロがまたなんとも、ね。日本人がブルーズ・ロックに持ってた期待をいっぺんにかなえてあげますとでも言うような、よく泣くギターなんですよこれが。とちゅうでテンポが上がって2本のギターのバトルになるところがこのアルバムの山場です。

これがブルーズだ、と思い込んじゃったもんだから、あとがたいへん。高校生になって、お小遣いでハウンドドッグ・テイラーとかエディ・テイラーとか買ってくると、ブルーズって、そういうもんじゃないのね。ほんとのブルーズ、わかるまでずいぶん回り道をしました。

iTunesStoreを利用できるようになって、すぐ検索したのがCreationというキーワードなのでした。今、僕のレッツノートの中で鳴ってます。クリエイション、子供だった僕らには音楽や英語のいい先生でした。心を込めて、ありがとう。