俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

加山雄三「旅人よ」

昨日、仕事の打ち合わせて東京からヴィデオ制作会社のかたがたがみえました。2時間ほど打ち合わせをするあいだ、どうも真向かいに座った統括ディレクターさんの顔やしゃべり方が気になってしょうがないのです。打ち合わせが終わって、雑談が始まるやいなや「え?Sさんて、やっぱりあの?」となりました。僕ですよ先輩。Fも満足に押えられない僕に、あなたは高度なオープンチューニングを教えてくれたじゃないですか。

高校時代。思い出すなあ、年何回かの自主コンサート。オレら、ドラムを叩くやつがいなくて、他校生に変装させて出演して、顧問の女先生(きれいでしたねあの先生)にカミナリを落とされて、出演停止処分を喰らったもん。ジョン・ライドンの真似をしてマイクに咬みついて暴れたときには、、機材撤収のとき、放送部の部員に「あ~あ、ひどいなあ、これ、何万円すると思ってるの」と叱られて、パンクロックってのはただの「無分別」のことではないんだなあ…とすまない気持ちになりました。まあ、オンガクの才能ははじめっからないですからね、僕は。

あの自主コンサートを開いていた公民館、たしか「卒業生を送る会」の会場としても使われていました。僕らが卒業するときもたしかあそこが会場だったはず。もうよく憶えてないんですけどね、みんなから慕われていた国語のN先生が、マイクを握り、無伴奏加山雄三「旅人よ」を歌ってくれました。地味なジャケットをダボッと着て、もそもそしゃべる先生でしたけど、ほんと、僕らの気持ちを裏も表も知りぬいてるっていう。受験勉強には不向きな、田舎の高校でしたけど、先生・先輩にあんだけ愛情いっぱいに育ててもらったんだから、悪くは言えないなあ…そんなことを今になって思います。

風にふるえる 緑の草原

たどる瞳輝く 若き旅人よ

iTunesで加山さんが歌ってます。この叙情、このみずみずしさ。青年なら誰もが持つ未知の世界へのおそれとあこがれ。先生があの時この曲に込めた気持ちは、まさに「はなむけ」です。あれから、何年経ったんですか?30年?遠いところへ来たなあ…