俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

モダンチョキチョキズ「愚か者よ」

濱田マリさんって、最近では女優だったり、ちょっと関西アクセントのナレーターさんだったりするんでしょうけど、僕にとっては不世出の叙情歌手です。

どう考えてもふざけてるバンド(ユニット)名、モダンチョキチョキズ。今、手元に二枚CDがあります。『ローリング・ドドイツ』(1992年)と『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』(1993年)。前者ですと、「主夫の生活」。主婦ならぬ主夫は、いつでもお風呂に入れてありがたい、という意味なんでしょうか、「ありがたい~な~、ありがたい~な~」という無意味な歌詞をあくまで実直に歌い上げる伸びやかな声。「恋の山手線」だってアキラのオリジナルにリスペクトの限りを尽くしたきわめてまっとうなカヴァー。松任谷由実詞・曲の「甘い予感」なんかになると、もう遊びなし、まっすぐなバラードです。「あたまはクラクラおめめはグルグル」なんていうタイトルにだまされちゃいけません。この人たち、すごく真面目。こういうことやるとすぐ「コミックバンド」(に違いないといえば違いないんですが)に片付けられて終わり、じゃ、つまんないですよね。

実は、この2枚のCD、僕も何年も聴き返していなかったのです。TVで濱田マリさんの声がきこえると、「こんどモダチョキ、探して聴こう」って思うんですが、たいていはCD棚をさがす余裕もなくってそれっきり。

今日、偶然ですけど、長いあいだばらばらに収納していた2枚のCDが見つかりました。ショーケンのカヴァー「愚か者よ」のクールでカッコいいこと。見果てぬ夢に、男はさまよい、女は焦がれる…この声で歌われると沁みます。またこんな風に歌ってください、濱田マリさん。ずっと待ってます。