俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

木之内みどり「硝子坂」

高田みづえさんのヒットのほうで有名ですが、もともとは木之内みどりさんのアルバムの収録曲、だそうで、iTunesStoreで購入。たぶん1976年ごろの作品だと思います。高田みづえさんの根性の入ったヴァージョンとはだいぶ違う味わい。こちらのほうが詞のシュールさに合っているといえば合ってるような気も確かにしますね。

夢の中にいつも出てくる見知らぬ謎の人。知らない人なのにその人のことが好き。その人はガラスでできたきらきら光る坂の上から手招きを繰り返します。一番では「悲しいのでしょう」と問いかけられ、二番では「行けるのでしょうか?」とおずおずと問い返し、やっとたどり着くかと思ったら、この謎の人は「とうとう来たね」と言い残し、さよならの手を振る…ガラスの坂は木っ端微塵に砕け散って消える…はじめからおしまいまで徹底して夢の論理につらぬかれています。作詞はプラスチックスの島武実氏(作曲は宇崎竜童氏)。明け方の浅い眠りの中で見る夢そのものの世界です。フロイトの『夢判断』、20年ぶりくらいに読み返したくなりますね。

年末の静かな休日でした。明日からはまた出勤ですけど、もうお正月もすぐそこ。今夜はこのままぐっすり眠りましょう。まったく準備しないまま講義をしてるとか、教える資格のない科目を教えてるとか、変な夢見ないといいなあ(よく見るのですよ)。ちなみに木之内みどりさんは現・竹中直人夫人。カルト的な人気のある美少女アイドルでした。

注記:僕はまた大きな聴き違いをしていました。3番の歌詞でさよならの手を振るのは主人公のほうみたいです。「いじわるなあなたがたたずむ坂」にむかって、(たぶん「わたし」が)さよならの手をふるつもり、というシンタクス。典型的な主格なし文です。「いい日本語」なんだけれども「誰が」手を振るつもりか、よく聴かないと意味が取れないですね。