俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ザ・ゴールデン・カップス「本牧ブルース」

デイヴ平尾さんが亡くなりました。享年63歳。ザ・ゴールデン・カップスのヴォーカル。

以前書いた近田春夫さんの80年代初めの『パック・イン・ミュージック』のGS特集。ワイルドワンズの加瀬さん、植田さん、ジャガーズの盛田さん、宮崎さん、岡本さんのよもやま話。

近田「そういう意味で、あのグループは変わってたな、っていうのはありますか」

植田「変わってるなってか、どういうつもりなのかわかんないな、っていう…」

盛田「やっぱゴールデンカップスなんかそうだったんじゃないか」

宮崎「ゴールデンカップスは異色だったね、僕らの目から見ててね。…一度、ステージの上で殴り合いの喧嘩したことがあってね」

岡本「間違えた、間違えないで喧嘩になっちゃって」

宮崎「ラジオで大阪のほうに行ったときに。明治チョコレートかなんかの公開録音で。ひとりが弾かなくなっちゃったのね。やーめたって。本番中だからね」

盛田「で、『何この野郎!』って喧嘩になって」

宮崎「で、平尾が困って中に入ってね」

植田「そういう意味では平尾が一番安定してましたよね。日本人ぽいっていうか、演歌っぽい体質ありましたもんね」

盛田「でさ、一度、木更津のほうへ行ったじゃない。で東京から船で行ってさ、原がマネージャーやっててさ、『あれ、うちのメンバーは?ゴールデンカップスの連中は?』って、その船が東京へ帰るわけじゃない。そしたら、一人メンバーが残って手を振ってるんだよね」

近田「それマーちゃんじゃない?」

宮崎「そう、だいたいマー坊だね」

近田「マーちゃんって、ルイズルイス加部のことですけど、その話有名だよね」

岡本「だいたいずっこけてたね」

植田「で、あの人よく休んじゃうでしょ、仕事」

岡本「いや、迎えに行かないと出てこない」

植田「マー坊、悪気ないんだけどね、今日休むもんねって休んじゃうんだよね」

岡本「だからいつもマネージャーが迎えに行って」

近田「GSってのは今聴いてる人には想像つかない世界だったという…」

植田「当時からそういう投げやりな部分ありましたよね」

近田「まあ、それで結局衰退しちゃったみたいなところもあると思うんですけど…」

今でもこの番組のエアチェックのテープをMDにして繰り返し聴いてますけど、このエピソードは心に残ります。我の強いミュージシャンの中で、和を重んじるデイヴ平尾さんが気遣いしている様子がひしひし伝わってきます。このトーク、ゴールデンカップスの話題になったとたんに「本牧ブルース」に曲が切り替わり、盛田さんが「アハハ」と笑い出す様子がいかにも楽しそうで、ほんと、GSの人たちって仲がいいんだなあ…と思わされます。

iTunesのなかで「本牧ブルース」が鳴っています。稀代のヴォーカリスト、デイヴ平尾。合掌。