甲斐バンド「かりそめのスイング」
自分は株なんかやってないからいいや、とかそういう次元じゃないみたいですね、金融危機。先日、法事の席で、親戚の親戚に当たる人が、経費節減のため、会社が事務所を引っ越すと言ってました。いわく、来年はもっともっと不景気になりますよ。
寒くなってきました。季節は年末に向います。ニュースは不況を歌い、街には人があふれ、そしてあいつがふらりと帰ってきた…甲斐バンド1975年の意欲作、「かりそめのスイング」。
なにせあの「裏切りの街角」の次が、この曲です。バックはヴァイオリンにガット・ギターにベース。明らかにジャンゴ・ラインハルトの「マイナー・スイング」を下敷きにしていながら、いやおうなく突出する強烈な個性。この暗さと鬱屈が甲斐さんの身上です。間奏のギター・ソロがよく歌う、気合の入ったアレンジ。
でかい不況がやってきます。それでも街にはジングルベルが流れ、街には人があふれ、年の暮れには思いもかけない人がふらりと街に帰ってくるでしょう。1929年以来の恐慌、かどうかはわかりませんけど、そうだとしたら、今度の冬は本物の冬です。そんなつらい毎日のほんのいっときCDプレイヤーに載せる、懐かしい曲。文字通りの、かりそめの、スイング。