俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ひと休み

掃除疲れして帰宅した昨日、寝る前、こんな本をパラパラと読んでました。

Brad Warner, Hardcore Zen: Punk Rock, Monster Movies&the Truth about Reality. Wisdom Publications. 2003

なんかオハイオ州アクロン周辺のハードコア・パンク・シーンで活躍したZero Defexとかいうバンドのベーシストだった著者が、来日して禅の僧侶になる話みたいです。20ページぐらい読んで寝ちゃったんですが、以下の一節は印象に残りました。

「この世界は楽園よりましである。君が想像できるいかなるユートピアよりもましである。[中略]この世界がユートピアよりましなのは─この点を注意深く理解してほしい─ユートピアに暮らすことは決してできないからである。ユートピアはつねにどこかほかの場所にある。まさにそれがユートピアの定義なのだ」

実現されたと思ったはしから破綻してゆく理想の共同体について、僕らはいやというほど知ってますよね。というか、ユートピアの追求とは、夏の日の逃げ水のように、たどり着いたと思ったらまだその先にある、ということの繰り返しにおちいってしまうものなのだ、という無限退行の論理がここにも見られる、というのが興味深いですね。まさにモップスたどり着いたらいつも雨降り」の世界。

なんでこんな本買ったのか、おぼえてます。数年前、仕事で上京した折、仕事が終わって渋谷のホテルに帰り、居酒屋さんでビール飲んで晩飯を食べたらいい気分になっちゃって、たしか11時まで空いてる本屋さんに入って、読みもしない本をどかっと買ったのでした。その時の一冊。全部読むひまはないけど、オハイオ州アクロンのパンク・シーンの話なんか、大槻ケンヂグミ・チョコレート・パイン』のアメリカ版みたいで面白いです。