俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

青いリンゴ

いつもスーパーで横目で見ながら通り過ぎるんですけど、最近食べてないな、リンゴ。

あ、そうか、椎名林檎さんについては以前書きましたね。職場でも、ウインドウズ機と並べて、いまだにマッキントッシュのパワーブックG3を使っているし。そういや、『シャル・ウィ・ダンス』でもリチャード・ギアはパワーブック使ってたな。それで「社交ダンス」と検索して、怪しげな音楽のついたサイトが立ち上がって、あわてるんですよね。

リンゴ。しかも、熟していない、青いリンゴ。新鮮でみずみずしいけど、硬さがあって、歯ごたえがあって…この曲では、青いリンゴは失敗に終わった初恋のメタファーです。

野口五郎「青いリンゴ」

いや、この曲のよさ、僕は最初よくわかんなかったです。ヒットした頃はもちろん僕も子供で、こういう歌謡曲を軽蔑していて、ギターやピアノを弾いて自作曲を歌う「アーチスト」たちがえらいんだとばっかり思ってました。これって、高校生のお兄さんやお姉さんのいる同級生たちからの影響なんですね(彼らのおうちはそろって裕福で、そういう音楽のLPがちゃんとそろっていました)。ところが、そういう同級生たちも、実は好きなんですよね、歌謡曲。彼らがふとしたはずみに口をそろえて「あれいい曲だったよね」と言っていたのがこの曲。

青いリンゴを抱きしめても

思い出さえ 帰らない

涙 涙の海に今

僕は深く沈もう

後になって振り返ると、僕も素直じゃなかったんですね。これだけまっすぐに青春の甘酸っぱさを歌い上げた曲は、子供時代はとてもじゃないけど恥ずかしくて聴けませんでした。心、心を縛りあい、二人、二人で傷ついた…男女交際の急所をずばり言い当ててませんか。幼く美しく切ない十代、二度と帰ってこないんだなあ…と今になって思います。