読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

関係代名詞節の魅力~1989年のゴンチチ

Abe's plan is to leave intact the current wording - which bans land, sea or air forces -while adding a paragraph making clear the constitutionality of the SDF - which comprises land, sea and air forces. ’Japan Times On Sunday' May 21, 2017…

あなたの町 恋の町~2013年のFM番組の録音を捜す曇りの日

MDに録音したラジオ番組がどっさりあるが、ふだんは聴き返すことがほとんどない。しかし今日、ふと数年前のNHK-FMの深夜にやっていた番組を思い出した。「とことんしゃがれ声重量級」とかいう二週にわたる特集だったと思うけれど、たしか録音したの…

五月、河岸書店で~『ワルツ・フォー・デビ―』はやっぱりCDで持っていたい

詩がそうであるように、世界も理念や概念の乗り物[ヴィークル]ではない。そのことこそが、それらがわたしたちの経験のなかにあるとともに、外在化しているという意味なのであって、世界が何で出来ているかを問うことは、決して交差することのない理念と経験…

デコポンを買った曇りの日~みんなつながっているが人生は有限だということについて

『羨望』や『リオムパ』は想像されたものが、想像したものを破滅に追い込む小説であり、そこには外部の事物に対する恐怖を読み取ることができる。ここで挙げたような擬人化された事物にも、外部の事物を生きた他者とみなす感覚、外部の事物に対する恐怖を見…

ペガサスの朝~五十嵐浩晃は自分のことを「イガラシは…」と言っていた

それにしても、ミリュコーフとトロツキー、この臨時政府の初代外相とソヴィエト政府の初代外相の二人が、ともに亡命地で、いずれも長大なロシア革命史を書いたという事実はまことに興味深い。両者はともに抜群に頭がよく、尊大で、どこか孤独であった。よく…

革命は何人称か~マヤコフスキーと三島由紀夫

住民の大半を占める民衆は、教育水準が低かった。人口の八割ほどを占める農民のうちには字が読めない者も大勢いた。階層的な秩序をなすロシア社会で彼らは経済的に不利な立場にあるだけでなく、二級臣民のような立場にあった。そこから「われわれ」と「あい…

白いハイウェイ~政治における一人称について非政治的に語ってみる

「彼らのなかに飛び込んで、はじめて気づいたのは、SEALDsは個人の集まりであるということだ。そこでは、沖縄出身の子も、東北から来た子も、在日の子も、『わたし』として法案に反対する理由を語っていた」 政治の世界では珍しい、「わたし」を主語とする、…

われらとやつら~『丘の上のバカ』を少し読んだ初夏の日

「私」は「私たち」という、ほんとうはだれのことを指しているのかわからない、抽象的な、甘い囁きの中で、自分を見失ってゆく。それこそが、政治のことばが目指しているほんとうの目標なのである。 「私たち」ではない、「私たち」とは異なる価値観を持った…

植草甚一さんなど読む世代ではなかったが

どうしてこんなものを書いたんだろう。その簡単な理由は、推理小説が戦後第一次の流行現象をしめし、それを推進させた中心人物は、もちろん江戸川乱歩だったが、そんな流行現象の波に乗ったぼくは、何とかして泳ぎ切ってみようという気持ちになったからであ…

来た球を打つだけと長嶋さんは言う~英露独仏その他の読書法という動画

新渡戸、岡倉、斎藤の場合もそうであったが、一般に名人上手と言われる人たちの修行法を調べるのは容易ではない。彼ら自身、そもそも自分がどうやってその域に達したのかをあまり意識していないからだ。 そのため、よく言われるように、一流の人たちはかなら…

Follow Me To The Bookstore~野口英世のシェイクスピア・モギケンの『赤毛のアン』

もちろん、英語教育にも改善すべき点はいくらでもある。意見を言っていただくことはありがたいのだが、一番困るのは、自分の英語が相当なものだと勘違いしている人(しかも、しかるべき地位にいる人)が、公的な場で無責任かつ的外れな意見を述べることだ。 …

パラノイド~ブラック・サバスとソルジェニーツィン

"The seclusion wasn't a question of 'I don't want to be seen'," Ignat replies. "After all the difficulties of writing in the USSR he finally had a chance to deepen his involvement in the major work of his life, The Red Wheel[an epic of the…

身も心も~ロシア革命とたこさんウインナの土曜日

西欧では、はじめに地主や企業家といった有産層の利害を代表する政党がつくられ、そのあとで労働者のための政党がつくられた。この流れはそのまま、議会政治の発達、有権者の拡大、それに国民統合の歴史であった。 ロシアでは順序は逆であった。はじめに地下…

いったい現状を把握している者はいるのだろうか

特徴的であったのは、呼称についての規定である。ロシア軍では将校の階級ごとに敬称に複雑な差がつけられていたが、それらは全て廃止され、今後は「将校さん」と呼ぶことになった。一方で、将校が兵士を「お前」呼ばわりすることは厳禁された。ソヴィエトは…

透明少女~大学教師は〈私〉の顔を見せるのをつつしむべきということについて

〈私〉的なものとは、具体的なイメージをあげるならば、「趣味」や「雑談」のようなものであろう。たとえば、中学や高校の教師が「雑談」と称して、自分の家族や日常生活のことをたれ流して、生徒たちの気を惹こうとしているのが、ぼくは昔から嫌いだった。…

よせばいいのに~北沢書店で買った立川健二さんの本をパラパラ見る雨の夜

ところで、本書の版元である現代書館は、「書籍」を大事に長持ちさせることでは、わが国の出版界でも屈指の存在であろう。ぼくは、自分としては全精力を傾けた小著が、この良心的な出版社によって読者の手に渡されることを心から倖せに思うものである。その…

ダイジェスト本もまたその抜粋のしかたが資料となりうることについて

[…]本屋も数件あって、ほしい本も何冊か手にとってみたのだが、まだ前途に船旅をひかえているということが、荷物をふやすことをためらわせ、ここではクールトンの『中世の精神』を買っただけで、ずらりとならんでいた『生きた思想』双書は一冊も買わなかっ…

あきらめ節~研究対象の次数とライヴ至上主義

職業としての学問を考えるようになったとき、その学問とは近代ヨーロッパ思想史であり、副次的に、当時の言葉では社会科学方法論、いま自分では思想の社会学とよんでいるものであった。社会科学方法論というのは、岩波文庫にウェーバーの「客観性」論が、『…

平日が戻ってくる~昭和史やフロイトで終わるGW

水野 さきほど近代兵器として、飛行機、潜水艦、タンクなどが挙がりましたが、これらを動かすには石炭よりも石油のほうが効率がいい。特に飛行機は、石炭では重くて飛べません。つまり石油を手に入れないと戦争ができない時代になったのです。第二次大戦でソ…

私設研究室を物置に移す夢を見た

出口 たしかに、総力戦というものがどういうものかを理解していたら、軍縮問題もあれほどの大騒ぎにならなかったでしょうね。総力戦とは、国の全ての力を注ぎ込む戦いですから、最後はGDPが大きい方が勝つ。もし軍縮で一定の歯止めをかけなければ、圧倒的…

quandaryは「板ばさみ」~早口言葉で学ぶ英語発音など

quandary ▶ noun (pl. quandaries) a state of perplexity or uncertainty over what to do in a difficult situation: ■a difficult situation: a practical dilemma: Oxford Dictionary of English 作者: Angus Stevenson 出版社/メーカー: Oxford Univers…

ベサメ・ムーチョ~「人格者」をどう訳すか

magnanimous ▶adjective generous or forgiving, especially towards a rival or less powerful person: Oxford Dictionary of English 作者: Angus Stevenson 出版社/メーカー: Oxford University Press, USA 発売日: 2010/08/01 メディア: ハードカバー 購…

ラジオの製作のまねごと~北海道は真夏の気温

チキタに感染した者は、たいていは夜中に突然高熱(四十度から四十度五分)におそわれる。高熱は四時間ないし六時間続く。朝になると患者はいくらか疲労をおぼえるだけで、すっかりなおった気になる。夜の間高熱に苦しんだことなど悪夢を見たかのように思い…

認識されたものの認識~研究対象の次数をめぐって

『リヴァイアサン』の解説を書くために、テニエスとクノウが、ホッブスの絶対主権の性格をめぐって、『ノイエ・ツァイト』誌上で論争を展開したことをしった。それを主要な材料として書いたのが、『歴史学研究』[…]に掲載された「ホッブスかいしゃくの一系…

通訳者に向かない自分は河原で石拾いでも~でなけりゃどこかでアナログ盤あさりでも

森山は、それを植村に渡し、のぞきこんだ。紙には横文字が数多く記されていて、二人は、それを低い声で発音した。 Earsの右にMemeeと書かれ、森山は、Earsというアメリカ語を知らなかったので、所持していた蘭英英蘭対訳辞書をひらき、その部分をひいてみた…

横文字を読みつつ地層のことを思う~北海道でもアンモナイトの出るところは限られていて

ただし、産業革命だけとっても、これまで、さまざまな論点をめぐって論争が展開されてきました。たとえば、産業革命は産業社会を生みだしたか否か、という問題です。労働者は熟練技能を失って工場で働いていたのか、それとも、手に職を取り戻そうとしていた…

雨の札幌~世界史とか英語とかをがっちりやりたかったあの頃

高校世界史の教科書といえば、ぼくにとってはもう二十年以上前の記憶になりますが、膨大な史実と年号がつめこまれ、それらを暗記するためにラインマーカーで何度も引いた線でいつの間にかグチャグチャになった本です(それくらい記憶力が悪かった、というこ…

一九九九年のゴールデンウィークの「コステロ音頭」の思い出

「この男は、時折りなにやら言葉を口にしますが、男には男の生まれ育った地の言葉があり、私たちにも言葉があります。異国の言葉であっても、努力をすれば言葉が通じ合えるのではないでしょうか」 […] 「それは、通詞のお方であってようやく叶えられること…

小説の起源と中古マック~大気が不安定でひょうが降った四月某日

一八世紀のイギリスにおける中産階級の台頭、その生き方に対応するイデオロギーの明確化、そしてそれに応える散文ジャンルの出現━━端的に言えば、小説の成立事情を説明するのに必要とされたのはこれらの組み合わせであり、その組み合わせの巧拙が論の有効性…

終末のタンゴ

労働大学予備校のある学者は泣き叫んだ。 「これはニトロ原子爆弾ですぞ。放射性核分裂です。二十年前にウエルズがそのことを書いていましたよ」 世界SF全集〈第9巻〉エレンブルグ.チャペック (1970年) 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1970 メディア: ? …

通訳者の役割~語学検定も悪くはないが

正解がひとつということはあり得ないのがコミュニケーションですが、それを何とか能力として測定し、スコアという数値で示そうとしているのが英語能力検定です。ですから高得点であっても、実際のコミュニケーションで高い能力を発揮するとは限りません。英…

アメリカ野戦奉仕団というのは知らなかった~読んで得られる英語力のことなど

英語力をつけるには、会話パターンを暗記しているだけでは効果は薄く、ともかく「読む」ことです。なぜなら、コンテクストの中で生き生きと使われている言葉を学ぶことを可能にしてくれるのは、何と言っても読むことだからです。IMFのラガルド専務理事は…

英語の語彙は8000から1万語を目指そう~鳥飼玖美子『本物の英語力』

まず、よく「ボキャビル(ボキャブラリー・ビルディング)」の必要性が言われますが、「語彙」はどの程度あったら良いのでしょう。話したり書いたり使いこなすことのできる発表語彙は、読んだり聞いたりした時に理解できる受容語彙よりも少ないとされている…

ジョン博士は「そんな夜」と歌う~クレソンのかき揚げ丼を食べる四月某日

In 1973, I got together with Allen Toussaint to do an album with the Meters, who were fonkiest rhythm section anywhere. I had known Allen and the organist for the Meters, Art Neville, from the recording scene in the late fifties and early …

アナロジーについて考える寒い四月某日~MacBookも一度使ってみたい

このように読者のみなさんには、ヘーゲルの思想やモノの見方を具体的な例に落とし込んでいく技法を身に付けていってほしいのです。安保関連法やプーチンのような大きな題材だけでなく、洗面器のお湯に温度計を入れるとか世論調査のやり方といった身近な例で…

ドラマチック・ブルース~是清さんも熊楠たちを教えた語学教師だったらしいことなど

ロンドンの空気も、けっして日本にとってよいものではなかった。日英同盟はあったが、これは戦争の相手が二ヵ国になったとき共同参戦するというもので、相手が一国の場合は援助する必要がなく、イギリスは中立国の立場にあった。また王室の関係からいっても…

帯広の夜~文学やつれと語学やつれなど

世上、縁談窶(やつ)れといふ言葉がある。今まで何回も見合ひをして来たが、残念ながらその都度、もうちょっとのことで良縁がなかった。いつ結婚できるか気になることだ。さういつた女を、不憫に思つて言ひだした熟語だらう。女として必ずしも欠陥があると…

春の嵐の日の夢に出てきた「ミスティ・トワイライト」

神近女史は下井草のこの番地に住んでゐなかった。 その頃は無論のこと、現在も住んでゐない。神近さんは強力な左翼の闘士だから、警察の目を逃れるため、出版社などに知らせる住所は適当に出まかせを言っておくのだらう。その証拠には、下井草一八一〇神近市…

どのマックを買うべきか~パソコンはへき地でこそライフライン

北海道の風景というのは、よくいえば雄大だが、曇りや雨降りのときには、”どんよりした風景が雄大”だから救いようがない。都会のように天候とは関係なくネオンがきらめいているような場所なら救いがあるが、どこを見ても陰鬱でモノトーンな風景が果てしなく…

せっかく電子辞書に入っているのだから百科事典も引こう

私はセイコーインスツルの電子辞書を使っています。オックスフォード新英英辞典、ロングマンの辞典のほか、『日本国語大辞典』、『角川類語新辞典』など、日本の主要な辞典が入っているんですが、平凡社の『世界百科大辞典』が入っているから購入を決めまし…

いとこ同士~フランス人学者の「ブリコラージュ」のまねはしてはいけないのか否かを巡って

ある日、後に母から相続することになるアパルトマンのソファーに寝転がっていたところ、「外婚制共同体家族の分布図」と「共産圏の地図」とが突如、重なったのです! まさに啓示でした! 私は何らかの目論見からこの二つを重ねようとしたのではありません。…

ブローティガン『アメリカの鱒釣り』~HDDをSSDに交換すればこのパソコンはもう少し長く使えるかも

豊崎 わたしが好きなのは「アメリカの鱒釣りテロリスト」。六年生の連中が一年生の背中に、白墨で「アメリカの鱒釣り」って落書きしまくる顛末が描かれているんですけど、〈わたしたちは、この一年坊主が背中にアメリカの鱒釣りと書きつけられたまま立ち去る…

ラッダイトとハッキントッシュ

Last, and perhaps the most important, the Luddites were understood to represent not merely a threat to order, as riotous mobs or revolutionary plotters of the past, but in some way not always articulated, to industrial progress itself. The…

音象徴と共感覚に関係があることを知って驚いていたことなど

It is a basic principle of language study that sounds don't have a meaning. It doesn't make sense to ask 'What does p mean?' or 'What does e mean?'. On the other hand, we often encounter words where there does seem to be some kind of relat…

GAOのいたころ~九〇年代はまだ日なたの明るさのあった時代で

いい天気なのに昼からマンガの原稿を描く。十五日が締め切りなのだ。ここに住みはじめてから、「マンガ家です」と名乗って何人もの人に疑いの眼差しを向けられたが、こうしてちゃんとマンガを描いて収入を得ているのだ。夕方、とりあえず描き上げた原稿を東…

What books should I read to improve my English~むかし買ったままの『薔薇の名前』なども読もう

豊崎 『薔薇の名前』はたしかに厚いし、語り口が現代風じゃなくて読みづらい。話の進み方も、いやがらせかと思うくらいかったるい。けど、根底にあるのは本物の教養です。エーコってトマス・アクィナスの研究者なんですけど、彼の中世哲学の造詣がにじむとい…

ドナドナ~北海道にいて中央線沿線の文化を夢見る

私は昭和二年の初夏、牛込鶴巻町の南越館といふ下宿屋からこの荻窪に引越してきた。その頃、文学青年たちの間では、電車で渋谷に便利なところとか、または新宿や池袋の郊外などに引っ越していくことが流行のやうになってゐた。新宿郊外の中央線沿線方面には…

田舎に生まれて洋書読みの達人になれるかどうかをめぐって

しかし、経専の書庫とはべつに、研究室に未整理のままおかれていた「小川文庫」をみたとき、これを使えばなんとかやっていけるという感じがして、就任を承諾した。「小川文庫」は、いまでは経済学部の蔵書全体のなかに組み込まれてしまって、全貌をとらえる…

クールジャパンという背理~自分を「かっこいい」と言ってる時点でかっこよくないよという指摘

That changed with METI's Cool Japan project in 2010, which attempted to promote Japanese pop culture overseas. Fukasawa attributes the failure of this scheme to the government's lack of self-awarenes: Once you refer to yourself as being "c…

枯れ野のなかの書庫~九階にある研究室から東京の街を見おろしながら、とさる教授はいう

いくつかの偶然が重なって、私は今九階にある研究室から海の方向に東京の街を見おろしながら本を読んでいる。そして、自分なりに充分に楽しんでいる。本来そう言えばすんでしまうはずのことが、しかしながら、今ではそう説明するだけではすまなくなっている…